低身長の治療/背を伸ばす医療
概要
- 1999年以後25年あまり、この治療に取り組み、治療方法の研究・改良を続けています。成長ホルモンや蛋白同化ホルモン剤の投与は治療全体の一部に過ぎません。ただし、成長ホルモンの注射を希望する場合は、予約時にお申し出ください。注射を多めに使用しても治療費の上限は月額22万円(税込)です。
- 背の伸びのどの段階かで、治療方法が異なります。
- 近年、ビタミンDを摂取している人が増えました。ビタミンDは骨を丈夫にするのに有効ですが、骨端線の細胞が十分に肥大化する前に骨化しがちですので、サプリメントで摂取するのはやめた方がいいです。
- ネット上での問診により、アドバイスしてもらえます(無料)
- セカンドオピニオンも受け付けています。
- この治療研究を始めた早期に、納豆を毎日食べている子供が「止まりゆく3年」の伸びが非常に悪くなることを発見しました。世の中に啓蒙を初めて20年以上経過し、かなり広まりました。大豆のイソフラボンは女性ホルモン様作用を持ち、確かに伸び率を低下させますので、この時期の納豆、みそ汁、豆腐、豆乳、枝豆、湯葉、油揚げの摂取には慎重になってください。また、幼少期からたくさん摂取していると、思春期早発をもたらすことがしばしばですので気を付けてください。
- 指導、治療してきた内容は、書籍、DVDにもまとめられています。子供の将来に影響しがちですので、何かの誤解を招いてはいけない分野であり、目立つ宣伝活動は行わない方針にしています。
- 成長ホルモンの注射は最初の伸び率を高めますが、骨端線細胞の枯渇をもたらし、背の伸びが止まるのが早くなります。その結果、「止まりゆく3年」の前半に成長ホルモンの注射を使用しても1~3㎝ほど余分に伸ばせる程度です。「止まりゆく3年」の後半だとよくて1cm余分に伸ばせる程度です。成長ホルモンの注射で伸びが止まってしまっても、その後に伸びを回復させる治療方法で背の伸びを挽回させることもできますので、ご相談ください。
- 「止まりゆく3年」で成長ホルモン注射とプリモボランを併用する治療を行っている人が増えました。この場合、実は成長ホルモン注射を使わずにプリモボラン単独で治療しても治療成果はほぼ変わりません。最初の伸びは良くなりますが、早期に止まってしまい、差し引きわずかに余分に伸ばせる程度になります。ただし、この時期にプリモボランを使用すると、止まりかけた後に伸びる力を再生するのに四苦八苦します。
- 「よく伸びる2年」の早期に成長ホルモン注射で治療すると、最初の1年あまりは伸びがよくなりますが、その後急速に伸び率が低下し、伸び続ける総期間が短縮します。一方、「よく伸びる2年」に、サプリメントを用いる栄養素系の治療を行うと、伸び率は向上すると同時に伸び続ける期間は短くはなりません。両者を比較すると、後者の方が良い結果になる印象が強いです。「よく伸びる2年」は成長ホルモン分泌不全などの病気がない限り、子供の栄養問題、生活改善を第一に考えることが重要です。
- 1回目の診療の際に、背が伸びるメカニズムと生活の改善点を学んでいただき、採血検査と医薬品、栄養素品の試験投与を行います。その1か月後の2回目の診療の際に、採血結果と伸び率から今後の見通し、伸びる確率論をお話しします。
- 当院に来る前に別の治療を受けていてその成果がなかった場合は、その原因を説明し、改善された治療を勧めることがあります。
- 「成長ホルモンの注射を打って最初は伸びたけども、やがてとまった、何とかできないか」という相談の来院が増えました。そこからさらに伸ばせる治療方法があります。
- 身長の問題が原因で、親子関係が不調な場合や、子供に精神的な問題が生じている場合、その解決に尽力することも治療の一環です。事前にご相談ください。
- 遠方の場合は、来院による対面診療と電話診療を組み合わせることも可能です。
- 当院は自由診療クリニックです。健康保険を併用する混合診療は行っておりません。内分泌不全性低身長症など、健康保険で治療できる場合は、大学病院を紹介します。
- 近年、大学病院からの紹介を受けて、紹介状を持参する人が増えました。紹介状があっても、健康保険適応にすることはできませんので、予めご了承ください。
- 1カ月の診療費には上限(22万円・税込)を設けています。実金額が上限を超えても、お支払金額は22万円までにしております(超えた分は無料になる)。通常の診療費は1カ月10~17万円(税込)です。
治療対象
健康保険での治療対象でない子供、つまり、内分泌不全性低身長症などの病気ではない子供で、下記のような状態の子供を対象に身長発育の治療、指導を行っています。
- 小学生で、背が非常に低い男女(クラスで背の順に並んだときに前から1番目~3番目)
- 中学生で伸びが悪くなって、周りの子たちに追い抜かれている男の子
- 声変わりが早く始まった男の子
- 身長がまだ147cm以下なのに生理が始まった女の子
- 小中学生で伸び具合が急に悪くなった男女
- 中学生、高校生で徐々に伸びが悪くなり、ついに、ここ1年で伸びが1~2cm以下になった男女
- 背の伸びが止まっているけど、1cm、2cmでも伸ばしたい、あわよくば数cm伸ばしたいという男女
- プロスポーツ選手、宝塚を目指しているので、もっと背を伸ばしたい、という男女
平均身長との比較
同じ学年でも背の順に並んだときは、4月生まれと3月生まれでは、身長に差が生まれます。身長を測定する機会があったら、子供と同じ年齢の〇才〇か月の平均身長と比較して、身長が高いのか低いのかを把握するようにしてください。
平均身長表はこちら
治療の基本方針
成長ホルモンの分泌が正常の場合、低身長の原因は成長ホルモンそのものではないことが多いですので、成長ホルモンを投与することは決定的な治療になりません。したがって、身体状況の把握と、原因究明に注力し、成長ホルモン投与を優先するケース、優先するべきでないケースを鑑別して、治療を進めることになります。また、年齢、伸びるプロセスの段階により医薬品を優先するケース、栄養素系を優先するケースに分別されます。
※低身長治療の研究の成果は、風本真吾院長執筆の書籍にもまとめられています。ご一読ください。
成長ホルモンの投与方法
成長ホルモンは、舌の下から吸収されますので、そのことを利用した投与方法を行うことがしばしばです。味わいはほんのりと甘く、子供には受けいれやすい投与方法です。舌下投与した場合、吸収は素早く、血中濃度のスパイクができ、大人では投与直後に動悸を感じる人がいますが、子供の場合はその副作用はありません。注射に比して、血中濃度スパイクを作ることができますので、骨端線に新しい幹細胞を導入することができ、止まりかけた子供の背を伸ばす治療には向いています。
成長ホルモンは注射で投与すると肝臓でIGF-1に変換され、IGF-1による蛋白同化作用が主作用となります。舌下投与すると血中濃度のスパイクにより成長ホルモンそのものの作用が主作用となります。注射の場合、骨端線にすでに入っている細胞の分裂増殖を促すことはできますが、新しい幹細胞を骨端線部分に導入することができず、最初は多少の伸びが見られてもすぐに止まってしまいます(キャッチアップ現象の一環)。舌下投与の場合は、成長ホルモンそのものの作用により、血中の幹細胞が、骨端線部分に導入されますので、止まりかけていた身長を再び伸ばし始めることが可能です。
人体においては、日中は血中濃度のスパイクによる成長ホルモンそのものによる作用、夜間睡眠中はIGF-1に変換された後の蛋白同化作用が働いています。注射と舌下投与、この差を巧みに利用するのが子供の背を伸ばす治療において、成功をおさめるコツとなります。
※成長ホルモンの注射と舌下投与による作用の差の判明は、当院の独自研究による成果であり、医学界一般はその差に関して知識を持っていません。また、分子量のサイズだけを根拠として「舌下からは吸収されない」とアピールしている者がいるそうですが、唾液の分子の巨大さを念頭に置いていないようです。また、何の実証実験も行っていないようです。想像だけで述べているそのアピールは論外です。
治療の「予定される目標」と費用(保険適応外)
過去の治療経験から、背を伸ばす治療に関して、次の予定目標を掲げています。
安定伸長期 | 通常は年間5~6cmの伸びです。背の低い子は年間4~5cmしか伸びていないこともしばしばです。治療を加えることにより年間8cm以上伸びるようにします。診療費は、月額22,000~88,000円(税込)です。ご両親が相談だけで来院することも多く、その場合は、診療費8,800円(税込)です。 |
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よく伸びる2年 | この頃は食欲が出てくるので、通常は2年で、男で17cm、女で15cm伸びます(真ん中の1年は10cm以上伸びることもしばしば)。治療を加えることにより2年で20cm以上伸びるようにます。診療費は、月額33,000~99,000円(税込)です。 |
止まりゆく3年の最初の2年 | 伸び率を高めることと、伸びる期間を延長することを目指します。予想最終身長より4~10cm以上、余分に伸ばすことを目指します。診療費は、月額55,000~143,000円(税込)です。この時期に、蛋白同化ホルモン剤を使用する治療もありますが、その治療を行うと、最終身長はかえってロスすることがしばしばです。注意してください。また、成長ホルモンを注射で投与しても、最初だけ少し伸び率がよくなりますが、背の伸びが早く止まってしまいますので差し引きすると有効な成果は得られません。だから、投与の仕方に工夫が必要です。 |
止まりゆく3年の最後の1年 | 骨端線の最終閉鎖を抑えながら、伸びる力を回復させます。成長ホルモンが功を奏します。もう1cm以下しか伸びないところを2~8cm伸ばすことを目指します。この時期の成長ホルモンは通常的に注射で投与しても有効な成果は得られませんので、投与の仕方に特別な工夫が必要です。診療費は77,000~220,000円(税込)です。この時期に、蛋白同化ホルモン剤を使用すると、その後、にっちもさっちもいかなくなり、有効治療を行えなくなることがしばしばです。注意してください。 |
止まった | レントゲンでは骨端線が閉鎖しているけれども、顕微鏡的には骨端線構造が維持され、シグナルが発されていることがあります。治療がしばしば功を奏し、自力ではもう伸びないのに、治療により伸び始めるケースが存在します。最初の3~5か月で1cm以上伸ばせたら、2~6cm伸ばすことが目標となり、2cm以上の伸びを得られたら、治療成功と判定します。治療手法の研究により、その成功率は年々高まっています。診療費は、月額88,000~330,000円(税込)ですが、220,000円(税込)を超える分は、当院で負担して、来院者の負担は上限を月額220,000円(税込)に設定しています。成長ホルモンの注射による治療も行っておりますが、この時期は成長ホルモンの注射単独の治療では、十分に伸びることはまずありません。 |
背を伸ばす「治療の進歩」と「治療の実際」
- ここ1年の伸びが1cm以下になって、「骨端線が閉じている」と言われ、骨端線での有効な細胞分裂がなくなっていた場合の治療が進歩しました。2018年までは、その状態から2㎝以上伸ばせる人は10人中2人くらいでしたが、今は10人中3人以上になっています。5~8㎝伸ばせる頻度も増えました。治療中の人には、成功例のカルテを一緒に見ながら治療を進めています。レントゲンで「骨端線が閉じている」と言われても、顕微鏡レベルでは骨端線構造が残っていることがしばしばで、そこを狙って骨端線を再生させる治療が進歩したのです。治療には医薬品と栄養素品を用います。
- ここ1年の伸びが1cm以下で、背の伸びがほぼ止まっている場合、骨端線再生の治療を行います。うまくいった場合は、1か月で2~4㎜の伸びが見られます。その伸びを1~2年続けるのが治療目標となります。1か月で急に1~2㎝伸びることは決してありません。じれったい治療になりますので、その心づもりでいてください。
- 成長ホルモンの注射での投与や蛋白同化ホルモン剤の投与は、骨端線における細胞枯渇をもたらしますので、最終的にはあまりいい結果になりません。成長ホルモン注射や蛋白同化ホルモン剤が有効なケースもありますが、その治療を行う際は、骨端線での細胞枯渇を防ぐための治療上の工夫が必要です。
- 成長ホルモンを注射で投与すると、肝臓で変換されたIGF-1の作用が前面に現れます。この作用は強い蛋白同化反応をもたらしますが、同時に骨端線の細胞枯渇をもたらしがちです。一方、成長ホルモンを舌下投与すると血中濃度のスパイクが生じ、成長ホルモンそのものの作用が前面に現れます。この両者の作用の違いを巧みに利用するのが、背を伸ばす医療の要点です。
- 成長ホルモン注射や蛋白同化ホルモン剤を投与しても、伸びない、あるいは、最初だけ伸びてもすぐにとまってしまうものです。そのようなケースに対して、挽回するための治療方法を鋭意研究しています。
- 思春期早発の場合は、今の伸び率を高める治療に集中するのがいいです。その際は栄養素成分を中心とした治療が奏功します。思春期の成長を遅らせる治療(性腺抑制療法)は、栄養素中心の治療に比べて、あまりいい結果をもたらしませんでした。
- 初潮が早く始まった子供の場合、治療方法にかなりのバリエーションがあります。状況判断が重要です。
- 幼少期から思春期までの間で、「よく食べているのに、上に伸びずに横に太ってしまう」という子供への治療が進歩しました。ある栄養素が奏功します。逆に言えば、その栄養素の体内合成の不足が原因なのかもしれません。これには遺伝の関与が示唆されます。
- 「よく伸びる2年」から「止まりゆく3年」への移行時は、成長ホルモン投与を行ってはいけません。決していい結果になりません。
- 「止まりゆく3年」に入ったとたんに、大腿の筋肉が発達し、同時に背の伸びが急低下する子供がいます。遺伝の気配が色濃いのですが、それに対する治療方法も鋭意研究しており、いくつかの奏功治療を見出しています。
- 背の伸びが止まりゆく時期、止まってしまった時期の治療は、奏功して伸びが続いていれば、治療期間が2年以上になることがしばしばです。効果が乏しい場合は、3~6か月で治療を終了しています。
- 「止まりゆく3年」は、通常は、1年ごとに4~5cm、2㎝、1cmの伸びです。しかし、この時期に伸びが急停止する子供がいます。「大腿の筋肉の発達を伴う」「お腹が出てくるのと同時に」など、遺伝の関与が示唆されるケースもありますが、通常は生活に問題があるケースが大半です。時間がたつと完全に背の伸びが止まってしまいますので、早めにこのホームページの問診票で相談してください。生活改善だけで回復するケースがしばしばです。
- 1か月分の治療費は、通常は初診時で3~14万円(税込)、リピート通院時で、3~16.5万円(税込)ですが、新治療の研究成果に伴い、治療費が高騰する傾向があり、まれに、1か月の治療費が22万円(税込)を超えることもあります。その場合は、22万円を超えた分は、当院の負担とし、来院者の負担の上限設定(1か月分22万円)を行うようにしています。
成長ホルモンの副作用
成長ホルモンは注射で投与すると持続高濃度となり、大量投与を長期間続けると末端肥大症のリスクが現れますが、通常治療でそのような大量投与を行うことはありません。また、大人が2年以上の連続的長期投与を行うと手根管症候群(指先がしびれる)のリスクがあります。また、大人の場合は注射での投与は糖尿病発症の可能性を高めます。子供の場合は、そのようなリスクは低いのですが、注意が必要です。
舌下吸収させる投与方法の場合は、持続高濃度にはなりませんので、そのようなリスクはありません。ただし、瞬間的にスパイク状の高濃度を作りますので、その瞬間に「クラっとする(一瞬のめまい)」という副作用を感じることがあります。ただし、初回投与時だけで2回目以後は、通常は出現しません。
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当院は、低身長の治療において、保険診療を行っていません(自由診療)。
初回の診察で採血を行い、生活指導とサプリメントあるいは医薬品の投与を行います(~165,000円・税込)。1ヶ月後の伸び率と採血の結果を分析すれば、今後の低身長治療の見通しが立ちます。「この身体の状況なら、これくらいの確率でこれくらい伸ばしていけますよ」という分析結果をカウンセリングします。そこで検討しあってから、治療をすすめることになります。
伸ばせる可能性はどうなのか、どのような治療になるのかなど、悩んでいる保護者の方だけで相談に来るのも受け付けています(診療費8,800円・税込)。
当院の治療は保険適応外です。予約制ですので、お電話にてお問い合わせください。
〒160-0004 東京都新宿区四谷4-7白川ビル2F
治療方針に関して
- 2004年頃まで、成長ホルモン注射、プリモボラン(当時はメサノロン)の両者による治療を盛んに行いましたが、それだけでは、十分な成果は得られませんでした。骨端線エリアへの働きかけを工夫して、子供の背が伸びるポテンシャル(潜在能力)を高める治療が先決です。
- 成長ホルモン投与が奏功するか、奏功しないかを、初回診療の検査と2回目診療までの経過、検査結果で、投与前に予想鑑別しています。成長ホルモン注射以上に有効な治療方法がありますので、この判定は重要です。
- 「伸びが止まった」「レントゲンで骨端線が閉鎖している」という場合でも、奏効する治療を研究しています。
- 骨端線を再生させる治療手法がありますが、その場合は、成長ホルモン注射やプリモボランを使ってはいけません。潜在能力を失ってしまいます。
- 「止まりゆく3年」の中盤以後になって、ここ1年の伸びが1~2cm以下の場合、成長ホルモン注射やプリモボランを使うと、最初だけ少し伸びて完全に止まってしまい、3cm以上伸ばせる可能性を失ってしまいます。注意が必要です。
- 「よく伸びる2年」から「止まりゆく3年」への移行期に、大腿中心に筋肉が発達し、背の伸びが急速に止まる子供がいます。その場合は、成長ホルモン注射で治療してはいけません。他の治療が必要です。
- 生活習慣の問題で、止まりゆく3年の伸びが悪い子供が多くいます。その場合は、何よりも生活習慣の改善が必要で、そのためのピンポイントアドバイスだけで、伸びが回復する子がいます。
- 「よく伸びる2年」は、たくさん食べることと、背を伸ばす体内能力を高めることが重要です。治療としては、栄養素品(サプリメント)の工夫が重要です。この時期に、成長ホルモン注射やプリモボランを使っても、最終結果は期待したものになりません。
- 幼稚園から小学校低学年で、前から1~2番目に並んでいる子供の場合は、未来への展望を明確にするために、一度は相談に来てください。
- 当院の研究成果を学会などで発表するつもりはありません。後世に残す健康管理学のレールづくりが目標であり、学会内で名をあげる道を目指すことはとっくの昔に捨てているからです。当院の研究成果が自然に漏れ伝わっていく範囲で十分です。