急速進行する動脈硬化の時期を、メディカルサロンでは「健康のダウンスパイラル」と名づけています。 何かをきっかけにとめどもなく落ち込んでいく「突然死への一直線状態」です

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健康のダウンスパイラル

つい先日の人間ドックでは異常なしと言われたのに・・・

毎年人間ドックを受けている人が、受診の隙間の1年に、心筋梗塞、脳梗塞を起こしてしまうことがしばしばです。

サッカーのオシム監督が脳梗塞を起こしましたが、発症する前の1年間に身体を調べていないはずがありません。「つい先日の人間ドックでは異常なしと言われたのに・・・」というのは医療の成果ではよくあることです。理解しておいてください。

あるとき、心筋梗塞を起こした患者が救急車で搬送されてきました。心臓の血管を映し出すカテーテル検査で血管の詰まっているところがはっきりと描出されます。その患者はたまたま、その発症の半年前に心臓カテーテル検査を行っていました。驚いたことに、半年前の検査では、心臓の血管はきれいで問題部位はまったく存在しません。この患者は、ここ数ヶ月で急激に血管障害が進行したのです。その結果、心筋梗塞を発症しました。

60歳を過ぎて頚動脈のくびれを指摘された人がいます。その後、検査を毎年繰り返しました。最初は22%のくびれと言われていました。それから数年、22%が続きました。ところがある年、急に40%にくびれが進行しました。それ以後は、40%のままが続いています。
動脈硬化といえば、毎年少しずつ進行すると思いがちですが、実はそうではありません。ある特定の数ヶ月の時期に、急に進行するのです。急速進行性動脈硬化症とでも名づけましょうか。どんな時期に進行するのでしょうか?

過労、ストレス、深酒などは原因になりますが、「夜中に目を覚ます」「寝汗をよくかく」「社内で人事系の悩みがある」という時期に急に進行することがあります。意外なところでは、「ひどい風邪をひいたことがきっかけとなって」ということもしばしばです。その急速進行の時期に一気に心筋梗塞や脳梗塞を起こすこともありますし、動脈硬化の段階が数段階すすむだけのこともあります。

この急速進行する動脈硬化の時期を、メディカルサロンでは、「健康のダウンスパイラル」と名づけています。 何かをきっかけにとめどもなく落ち込んでいく「突然死への一直線状態」です。
経営者として君臨していると、このダウンスパイラルの時期を生涯に繰り返し迎えることになります。注意してほしいのは、戦いの世界に身をおいて、ある意味「騙しあい」の世界を展開している経営者は、その時期を自覚できません。自分の身体ごと騙してしまう本能が身についています。まったく自覚しないままに、ダウンスパイラルを迎えているのです。

「ダウンスパイラルをすばやく見つけ出し、点滴一本などでそのリスクを回避する」というのは、プライベートドクターの重要な仕事でもあります。

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院長:風本真吾

略歴

平成元年 慶應義塾大学医学部卒業
2年間研修医を経て同医学部内科大学院へ
平成4年 四谷メディカルサロン(現四谷メディカルクリニック)開設
現在に至る