風本真吾(四谷メディカルクリニック院長)の健康談話

「背を伸ばす医療」の研究の日々

私(風本真吾)が運営するクリニックは、プライベートドクターシステム(PDS)を中心としています。入会した会員に対して、「予防医学、予想医学と、エイジングリカバリーの医学を駆使して、健康管理学のことを教えながら、健康長寿を目指して、生涯の健康をお守りします」というシステムです。

そのPDS会員からの健康に関する相談はまさに多種多様です。会員と私との友誼関係を土台としていますので、それこそプライベートな相談、想定外の相談も多々あります。1998年前後の頃、次のような相談を受けました。

「うちの子、背が低いのに、もう伸びが止まりそうになって、困っています。先生のところの成長ホルモンを使って、背を伸ばせませんか?」

その人は、アンチエイジング目的で成長ホルモンの舌下投与スプレーを使用しており、「成長ホルモンを使うとよく眠れて、身体の底からエネルギーがわいてくる」と言って、気に入ってくれています。

その相談を受けたときに、私は「あれっ」と思いました。子供の身長に関して医学部で学んだのは、「成長ホルモンの分泌不全症などの病気で低身長になる」ということ、「骨端線での化学反応で背が伸びる」ということ、そして、「成長ホルモン分泌不全性低身長症の治療に成長ホルモンを用いる」「-2SD以下の場合を低身長症と名付ける」ということくらいに過ぎませんでした。
背の伸びが止まりかけている子供に、成長ホルモンを投与したら効果があるかどうかなど学んでいません。
また、成長ホルモンの分泌はあるけれど低身長になっている子供に、成長ホルモンを投与したら伸びるのかどうかも学んでいません。
そこで、知人の小児科医数人にいろいろ尋ねてみました。しかし、満足できる回答が全くありませんでした。
考えてみると、健康保険制度下で育成された医師は、「病気となる低身長」の診断方法と治療方法は勉強していても、病気ではない低身長症の子供の背の伸ばし方など、十分に勉強していないのです。

「この分野には、未研究の課題がたくさんある」。俄然、ファイトがわいてきました。

子供の最終身長が、どのような法則で決まるのかさえ、小児科では不明瞭でした。そこで、私は独自に分析研究し、子供の背が伸びるプロセスに対して「よく伸びる2年」「止まりゆく3年」などの用語を考案して、明確化させました。
そして、最終身長を定める決定的要因が2つあることを突き止めました。遺伝がどこに関与するかも突き止めました。

次に治療方法を研究しました。第一の課題は、「骨端線が閉じたら本当に伸びないのか?」というものでした。今の世は再生医療の時代です。初歩的で簡単に実践できる方法を組み立てることにより、骨端線が閉じていても、半数の人を1~2cm伸ばせることがわかりました。

さらに、一定の割合で2cm以上伸ばせることも判明しました。骨端線が閉じたと思われる直後であるなら、うまくいけば4cm以上伸ばすこともできます。骨端線が閉じる直前、あるいは直後は、成長ホルモンの自己分泌が減っているので、成長ホルモンの舌下投与スプレーは効果的であることも判明しました。注射では効果が出ないのに、舌下投与スプレーなら効果が出る、というケースも多々経験しました。レントゲンで骨端線が閉じていても、顕微鏡レベルでは骨端線構造が残っている場合もあり、その場合は、骨端線をおそるおそる温存しながら治療をすすめれば、思わぬ成果をあげられることも判明しました。
一方では、明らかに骨端線が閉じている30歳前後の女性で、「最近、背が伸びているのです。どうしてでしょうか」という相談を受けたこともあり、背を伸ばす医療の奥深さを痛感することもありました。
しかし、自己成長ホルモンの分泌がしっかりとある時期には、成長ホルモンを注射で投与しても、あるいはスプレーで投与しても、明確な効果が得られるかどうかは疑問であることも判明してきました。
また、女子の生理が始まると、背の伸びは急速に止まります。一方で、この事象に対する治療にはいい方法があり、大きな成果を挙げることができます。

治療の原理は、骨端線の軟骨細胞の分裂増殖を促すこと(『童伸』のねらい)、骨化する前の軟骨細胞の肥大化を促すこと(アルギニンの効果)、血流中の幹細胞を骨端線領域に導入分化させることが基本です。これらの基本に沿って、安定した効果を出せる治療方法が次々と生み出されています。

今でも、日々、研究は続けられています。

研究のまとめ

背をどんどん伸ばすには

子供の背が伸びるプロセスに関しては、背が伸びゆく過程の観点から、

幼少発育期→安定伸長期→よく伸びる2年→止まりゆく3年

の時期に分かれます。どの時期であるかを検討し、その時の身体状況を分析して、適切に指導を受ければ、身長の伸び率を最大に高め、最終身長をその子供の潜在能力の最大値に高めることが可能です。もちろん、両親の遺伝の影響を極小にすることも可能です。

背を伸ばすためのキーワードは、「栄養素」「栄養量」「蛋白同化作用」「アルギニン」「鹿角エキス」「骨端線温存」「成長ホルモン」「プチ再生医療」です。特に、栄養素の問題は重要です。「体内で蛋白質を作り出す作用」のことを蛋白同化作用といいますが、このためには栄養素であるアルギニンがキーになります。アルギニンは、大人にとっては栄養学的に非必須アミノ酸ですが、子供にとっては必須アミノ酸です。子供はアルギニンを多めに摂取することが大切なのです。潜在的アルギニン不足で背の伸びをロスしている子供が多くいます。

子供が高身長になるか、低身長になるかは、遺伝、努力、運、栄養素、ご両親の知識で決まると言っても過言ではありません。

背の伸びに関してもっと詳しく(関連サイト)

診療現場の経験の積み重ねで研究は進歩した

低身長治療成長ホルモン分泌不全症などの病気ではない場合の低身長の治療に関しては、一般的な医学研究は未熟でした。しかし、医療機関で利用できる一般型の成長ホルモンの投与手法の工夫を繰り返したメディカルサロンで治療症例を豊富に積み重ね、成長の各時期に応じた治療体系が確立しました。1998年以来約20年の間に治療実績を積み重ね、子供の成長の各時期における最も有効性の高い治療手法が検討されてきた成果が凝集されています。

自己成長ホルモンの分泌が十分にある時期は、成長ホルモンの投与は有効性は乏しく、他の治療が優れています。思春期前の学童期(安定伸長期)でも、成長ホルモンを使わない治療で、2~3年で20cm以上伸ばせる人はたくさんいます。
そして、自己成長ホルモンの分泌が低下してくる「背の伸びが止まり行く3年」においては、生体内の環境と類似した血中濃度のスパイクを作ることが大切で、持続高濃度を作る成長ホルモンの注射は決して有効ではありません。治療には何かと工夫が必要です。

予想医学と先回り予防の観点から1998年以来約20年行ってきた低身長治療の中で、メディカルサロンには豊富な経験と実績が積み重ねられています。

また、レントゲン上「骨端線が閉鎖している」という状態でも2cm以上伸ばせる人がかなりの割合で存在します。多くの小児科医が「骨端線が閉鎖しているともう伸びない」と断言していますが、決してそんなことはありません。レントゲンでは骨端線は認められなくても、顕微鏡レベルでは骨端線が温存されている場合、骨端線エリアが、まだ幹細胞を呼び寄せるシグナルを出してる場合もあるのです。実際に、他院で「骨端線が閉鎖している」と指摘された人でも、当院で治療開始して伸びだした人が大勢通院しています。

特に、最近では再生医療の応用治療を取り入れることにより、「骨端線が閉鎖している」あるいは「骨端線が閉じかけている」という状態からでも、学童期の年5~6cmの伸びを一定期間、再現することができています。状況次第では、胚細胞から軟骨細胞への分化誘導を促して伸びる力を回復できるのです。「ここ1年で伸びが急激に悪くなった」というくらいなら、治療によりまだまだ大いに伸ばすことが可能です。

成長ホルモンの投与手法による差異に関して

背を伸ばすと言えば、成長ホルモンを連想します。治療に用いられることもあります。ご両親はまず成長ホルモンに関する正確な知識を身につけなければいけません。成長ホルモンの投与方法には、注射で投与する場合と舌下投与型のスプレー剤で投与する場合があります。両者の違いも理解するようにしてください。低身長の治療に取り組んできた15年以上の経験でまとめた成長ホルモンの利用価値に関して述べておきます。

  • 伸び盛りの時期(安定伸長期~よく伸びる2年)で、自己成長ホルモンが分泌されている子供には、成長ホルモンの注射は無効であった。成長ホルモンの舌下投与スプレーは、舌下投与する時刻により効果を示すことがあった。
  • 背の伸びが止まりかけている時期には、成長ホルモンは有効であった。ただし、注射と舌下投与スプレーでは、効果に差異があった。
  • 背の伸びが止まりかけている時期に、成長ホルモンを注射で投与すると、最初の1~2か月で2~7mm伸びることがあるが、その後はすぐに止まってしまい、以後は、にっちもさっちもいかなくなるのが通常であった。ただし、初歩的な再生医療を応用した特別な方法で伸びを挽回させることができたこともあった。
  • 背の伸びが止まりかけている時期に、成長ホルモンの舌下投与スプレーを利用すると、その後、半年から2年、伸び続けることがしばしばであった。
  • 注射と舌下投与スプレーによる効果の差異は、成長ホルモン注射が血中に持続的に成長ホルモンを送り出すのに対し、舌下投与スプレーは、血中に瞬間的濃度ピークを作りだすことによると推定された。つまり、注射による投与では、肝臓等で成長ホルモンが変換された結果のIGF-1の作用が中心となり、骨端線よりも筋肉に強い作用をあらわすと同時に、骨の成熟を促すことによる骨端線閉鎖が進行するのに対し、舌下投与スプレーでは、瞬間的高濃度により、IGF-1に変換される前の「成長ホルモンそのもの」が骨端線に働き掛けるから、と推定された。このことは、成長ホルモンの生理的体内動態(著しい濃度上昇と濃度下降の繰り返し)を考え合わせると興味深い知見である。
  • 腎臓病やベーチェット病などでステロイドを投与されている子供の場合は、成長ホルモン投与は、注射、舌下投与スプレーとも著効を示した。

アルギニンサプリメント使用時の注意点

10歳代になって、性的発育が一応の終了を迎え、ここ1年の伸びが4cm以内になった子供に、アルギニンを投与する場合は、医師の指導を受けておくようにしてください。

アルギニン含有量が多いのに加えて、それ以外の何かの成分を配合しているサプリメントを使用して、最初の1~2か月でポンと1cmほど伸びたけれども、それ以後、まったく伸びなくなった、という相談の来院者が相次いでいます。そういう人に、本来はもっと伸ばせるはずの治療を施しても、まったく反応してくれないことがしばしばです。
性的発育がほぼ完了間近で(陰毛が生えそろった状態)、ここ1年の伸びが4~5cm程度に低下していた場合、治療しなければ1~3cmの伸びで止まります。そこに治療を施せば、3~8cm伸ばせるのが、低身長治療の神髄です。しかし、この時期にむやみに、アルギニンサプリメントを利用すると、かえって身長をロスすることがあります。

原因は定かではありませんが、他成分の併用による骨端線レベルでの軟骨細胞の増殖停止や、急速骨化の影響などが考えられます。他成分を混合させていない純粋なアルギニンは、診療現場で用いられていますが、このような影響は認められません。医師は相互作用を深慮します。

背の伸びが最終的に止まる時期から、さかのぼって1~3年前の治療は、かなりデリケートで、ナーバスな要素がありますので、治療手法には十分に注意するようにしてください。闇雲(やみくも)なサプリメント摂取は決して良いとは言えません。

【付録解説】ケースに応じた治療手法や治療目標を設定

四谷メディカルクリニックでは、子供の成長度に応じ、下記の場合に分けて診療しています。すぐに治療に取り組むケースもありますし、身体の状況を調べてから治療に取り組むケースもあります。親だけに来院してもらって子供が来る前に事前相談を行うこともあります。

生活指導は言うまでもなく(医師に指導されたら、子どもは早く寝るようになります)、栄養指導の一環としてのサプリメントの利用、効果を狙ったサプリメントの利用、ちょっとした医薬品の利用などで、子どもの最終身長を大いに高めることが可能です。

18歳以上ですでに背の伸びが止まって数年以上たっている場合

すでに背の伸びが止まっている場合でも、半数以上の人が1~2cm伸ばせます。元の身長が高い人ほど伸ばしやすい傾向があります。治療方法としては、成長ホルモンの工夫した投与と背伸ばし用のグルコサミンを併用します。3~6cm伸びる人も一定の割合で出現します。

「伸びが止まりそう」、あるいは「すでに止まったかも」という子供の場合

この時期は、成長ホルモンの注射やタンパク同化ホルモン剤(プリモボラン)などで治療してはいけません。最初だけちょっと伸びて、すぐに止まってしまいます。長い年月伸び続ける治療方法を工夫しなければいけないのです。 
まずは、治療の見通しを立てるために、詳細な履歴の検討と採血検査を行います。身体の中に伸ばせる余力が潜んでいるかどうかは、蛋白同化作用を持つ栄養成分と骨端線の軟骨細胞の分裂増殖能力を高める漢方を投与すればわかります。採血結果を分析しながら、骨端性を再生させる手法に取り組みます。うまくいくと一ヶ月に2~4mmの伸びを確保できて、その伸びが1~2年続きます。

ここ1年伸びていない子供の治療の目標

4歳から10歳の間

この期間は、通常で年間5~6cm伸びます。伸びがそれ以下の場合は、原因究明が必要です。いじめにあっている場合は伸びが悪くなりますので要注意です。伸びが悪い場合の原因のほとんどは、食べる量が少ないことです。あるいは、激しく運動して、その後に食べないですぐに寝てしまうという場合も、伸びが悪くなります。このケースは水泳や剣道を行っている子供に多いのが特徴です。食生活改善と効率的な栄養摂取、必要に応じて食欲を高める治療の採用がキーになります。また、体内で蛋白質を作り出す作用を持つ薬を短期間利用すると、それをきっかけにいい伸び率を確保できるようになる事もしばしばです。思春期入り(平均で男子11歳6ヶ月、女子10歳0ヶ月)までに平均身長に追いつくことを目標として治療します。

まだ伸びているが伸び率が低下してきた場合

子供の背の伸びは、よく伸びる2年間に引き継いで、止まり行く3年間というのがあります。止まり行く3年間では、治療を行わない通常の成長で3年間の合計が約8cmの伸びになります。この時期に伸びる力を高める治療と延びる期間を延長する治療を行えば、丸3年で15cm以上伸ばすことが可能です。この時期に該当する場合は、出来る限り早く来院することをおすすめします。

まだ背が低いのに生理が始まった

生理が始まると、その後は3~6cm伸びてとまります。元の身長が低い子は3cmの伸び。元の身長が高い子は6cmの伸びです。つまり身長145cmで生理が始まれば、最終身長は148cm、身長153cmで生理が始まれば、最終身長は159cmと推定されます。低い身長で生理が始まってしまい、あと3cmしか伸びないという女の子が治療に取り組めば、6~10cm伸ばすことができます。生理が始まったらできるだけ早く来院してください。

声変わりが始まった

声変わりの開始は成長プロセスの中での時期にばらつきがありますので、正確な時期検討が必要です。初回の診療では、詳細な履歴の検討と採血検査を行います(税別30,000円)。1ヵ月後に2回目の診療を行いますが、その際に、1ヶ月間の伸びと採血結果を照らし合わせて、治療方針に関してカウンセリングします(税別8,000円)。

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